【特集】間違いだらけのF1論 〜RB16編〜

20200213

(Text: Nori Tohyama / Photo: Red Bull Content Pool)

 

 

というわけで、レッドブルRB16。

 

 

「F1のシーズンクライマックスは2月の新車お披露目であってそのあとのレース結果はオマケみたいなもの」って思ってるボクでさえ、実は少し冷めてる部分があった近年の新車発表。

 

もうレギューレーションガチガチ。意表をついたデザインはほとんどなくて。ワクワク感あるマシンって少なくなってきてるもんね。

 

そんな中でバッチリ攻めてきたRB16。

 

 

パッと見ると2019年型RB15と変わらんやんけ、と思いがちだけれど。ところがどっこいかなり違う(とボクは思う)。正確にはマシン自体はキープコンセプトの正常進化版。でもフロントの先っちょからリヤまですべてのディテールがスゴイ。

 

「現代に生きるレオナルド・ダヴィンチ」の呼び声が高い(※トーヤマが勝手にそう言ってる)、エイドリアン・ニューウェイ先生。

 

その最新作の「細かくて伝わらない」見どころをご紹介していきます。

 

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1:細ノーズ

 

 

モノコックからキュッと細くなるノーズ。昨年メルセデスがシーズン直前に同じような細ノーズを急遽採用して大成功したのは記憶に新しいところ。空力的にどうしたこうしたは知らないけれど、余計な贅肉が削ぎ落とされたシャープなフロントまわり。これは見た目に超絶カッコイイ。

 

2:エイリアンダクト

 

 

このエイリアンの口みたいなノーズ先端の形状。複数のエアダクトを設けて細かく空気の流れを分配していく手法は、2018年にマクラーレンが採り入れたもの。RB16はそれをさらに発展させ、その構成の複雑さは異常。そして、ノーズのサイドからフロントボトムに伸びる通称イカヒレは、これまたメルセデスAMGが近年得意としてきたギミック。さらには、牛さんのすぐ下にこっそりと配されたNACAダクトは自動車ファンなら泣いて喜ぶディテール。細いノーズにギュッとテクノロジーを凝縮したこの感じ、過剰でとてもF1らしい。

 

3:カメラマウント

 

 

フロントのカメラマウント(ホンダロゴの左右に伸びてるヤツ)も取り付け方にとても気が利いている。この部分まだ写真だと何が起きているか見にくいのだけれど、ただノーズからニョキッと生えるんじゃなくカメラマウントとシャシーに少し距離をとっているみたいな。これは珍しい手法ではないのだけれど、細ノーズと組み合わさるとメカメカしてくて見た目に美しい。

 

4:サイドポッド

 

 

ラジエターが収まるサイドポッド。もうシャシーだとかボディワークっていうより「出っ張り」って表現するほうが適切なくらいに小さくなった。近年のF1ボディの実質の横幅って(=フロアとか羽根類は含まずの意味)恐ろしく小さくなってると思う。

 

5:このへんについてる整流板

 

 

フェラーリSF1000がインダクションポッドのまわりに羽根を立ててきた、なんて書いたんだけど、RB16はその下に水平方向に整流板を追加。こんな小さいパーツで何が一体違うのかっていつも不思議に思うんだけれど、こういうところに病的にお金を使う感じがF1の素敵なところ。

 

6:サイドダクト

 

 

これまた今出回ってる写真だと判断つきにくいけど、サイドダクトの小ささも異常。少し前までこの部分にはドカンと大きな空気取り入れ口があったのに。上写真をよーく見てみると、たぶんサイドポッド上端に天地10cm幅くらいの口が空いているだけかと。このサイドダクト小型化運動はここ数年のフェラーリが過激に推し進めてきたもの。数年前のF1の写真をググって見てください。穴の大きさに驚くので。

 

7:バージボード

 

 

リヤタイヤ直後、ボディサイドのエアロフローってとても重要なのですって(特に去年からはフロントウィング規定の変更でさらに重要度が増した)。パーツ名的にはバージボードなんて呼ばれる部分なんだけど、ここ最近は複雑になりすぎてて「ボード」なんてシンプルなモノじゃなく。RB16もとっても複雑なことやってるんだけど、細かすぎてもう書くのすらメンドくさいので次。

 

8:ミラー

 

 

たかが後ろを見るための鏡。それの固定具がこの様子だもの。ミラーカバー本体を支えるステーもウイングみたいになってるし、その下に伸びるアシも微妙にうねってねじれて明らかに何かをしてる。

 

9:2本のリヤウイングステー

 

 

RB15では1本だったリヤウイングステーが2本構成に。だからどんな効果あるかは知らないけど、とりあえず1本より2本ある方が見た目にカッコイイ。

 

10:まだナイショのリヤセクション

 

当然まだすべての手の内を見せるはずなく。広報画像では一切見ることができないリヤまわり。最重要パーツでもあるディフューザーがどうなっているのか? このあたりはまた合同テストで写真が出回ってからのお楽しみということで。

 

11:グラフィック感

 

 

これは完全に個人の好みのハナシだけれど。ボディ全体のグラフィック感も一段と良くなったと思う。Red Bull定番のカラーリングをベースに、各所に白いスポンサーロゴがのっかる感じ。真ん中を走る赤ライン。RAUCHやタグホイヤーの色鮮やかなロゴとか。いかにも一流企業っぽい綺麗&クリーンなブランディングが増えてきた感のあるF1の中で、いろんなデザイン要素をグラフィカルに配置して、色味をたくさん使って、みたいなレッドブルって元気さがあってとても「らしい」。

 

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長くて書いてて疲れたけど。これが第一報となった広報写真をみて感動したポイント。

 

要点をまとめてみると「贅肉を削ぎ落としまくったシャシーに現代F1の空力トレンドを全部盛りして凝縮したマシン」。それがRB16のイケてる見た目のヒミツなのだと思う。

 

「カッコいいマシンは速い」は事実。

 

だからして。今年はRed Bull&ホンダはいくんじゃないかとボクは思う。間違ってたらごめんなさい。

 

(おしまい)

【特集】エミレーツ国立自動車博物館。

20200313

 

1:博物館外観。

 

 

アブダビ市街から車で40分くらい。とにかく砂漠を突き進み。目の前に現れるこの奇妙な光景。

 

そびえ立つピラミッドと、砂漠のど真ん中になぜか航空機。

 

 

入り口で1000円くらい払って敷地内にはいるとこんな感じ。

 

あまり手入れされてない駐車場、その真ん中に誇らしげにたたずむでっかい地球型のクルマ。中に人が乗れるらしい。来場者をまず驚かせるサプライズらしい。

 

まったく興味をひかれなかったのでとりあえずスルー。

 

 

こっちには世界一でかいジープ(飾りじゃなく実際に動く)。

 

 

ちなみに、奥に見えるでっかいプレハブ小屋も牽引式キャンピングカー。東京にある一軒家よりも確実にデカイ。

 

これらも容赦無くスルー。

 

 

博物館入り口に放置されていたのは、メルセデス350SEL。

 

いつもと少し雰囲気が違うのは、オシャレな足元のせい。夜の銀座でもしっかりと個性を発揮する絶妙なハミタイ具合。

 

 

 

2:博物館内部へ。

 

もう中に入らないで帰ろうかなと思ったんだけど、一応ピラミッドの中へ。

 

そしたら一転。

 

すごいったらアリャしない。

 

 

この所蔵台数。イケてるディスプレイ方法(マジで凄い!)。

 

主には古いアメ車を中心とした内容で、年代ごとに並べられたその光景は圧巻。

 

 

いやー、すごい。

 

 

うんうん。スゴイスゴイ。

 

けれども。ボクがこの辺まったく詳しくないので細かいハナシは割愛。

 

 

 

3:ザ・石油王なメルセデスが最高すぎる。

 

さて、ここからが本番。

 

エミレーツ国立自動車博物館のピラミッドのなかで一番のホットポイントがメルセデスコーナー。だってこの状態⬇︎だもんね。

 

 

虹色に輝く560SEL。

 

この光景をみて思い出した。そういえば小学生のころに「どこぞの砂漠の国王がベンツの最上級モデルを虹色で揃えてる」みたいな話を聞いてビックリした記憶があるもの。

 

それが目の前にあると思うとなかなかの感動。

 

 

内装までフルコーディネート。

 

 

サイドマフラー&オバフェンなどといったさり気ないセンス。奇抜カラーリングだけに頼らないディテールも胸アツ。

 

 

上は闇金仕様のSEL500。

 

下は配色の妙で魅せるSL。

 

 

レインボーカラーとゴールドクロームの色使いはオシャレ上級者テク。

 

 

少し地味だけど、東京のミリオネアにおすすめしたいのが⬇︎。

 

 

W220 Sクラスのオープン。2010年に1億5000万円で特別販売されたマイバッハ・ランドレー(下写真)を先取りしたかのような一台。

 

 

こういうビミョーなクルマ(上写真)が、国立を名乗る博物館に、素晴らしいディスプレイの中で鎮座。

 

クセの強さがとても異次元。

 

 

 

4:実は全部がとある人物のプライベートコレクション

 

最後を飾るのはコレ。

 

 

世界一大きいダッジのトラック。前にちょこんと置いてあるのが普通のやつ。車体の下の階段を使ってきちんとクルマにも乗れるようになってる。

 

少し真面目な話をすると。

 

デカいトラックの後ろに肖像画が飾られてることにピンと来る人もいるかもだけど。

 

この博物館にあるクルマの数々は、もともとはハマド・ビン・ハムダン・アル・ナヒヤーン氏のプライベートコレクション(ナヒヤーン家はアブダビ首長)。

 

偉大な功績を残し、レインボー・シェイク(シェイクは首長の意味)と呼ばれたそうで。そんなエピソードを知ると、あの虹色メルセデスに隠された想いも見えてくる。

 

 

デカさにこだわり。

 

虹色にこだわり。

 

クルマ選びもどこか一般とはズレた選球眼で。

 

少し変。でも滲み出るクルマ愛。そこが魅力のエミレーツ国立自動車博物館。

 

今よりももっと昔。まだ中東の国が謎めいていた時代。そんな時に砂漠のど真ん中で繰り広げられていた「豪華絢爛アラビアン国王ライフスタイル」を今に伝えるかのような。

 

(おしまい)

 

◆Text : Nori Tohyama

 

 

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